[Living Histories] 筒井孝俊さん
取材・執筆:楳田愛依、岡島知優
筒井孝俊さんは、右京区のご出身であり、現在、立命館大学産業社会学部の 4 年次生です。立命館大学は他府県からの学生が多く、京都出身以外の人と新しい出会いで溢れていると言います。 筒井さんは、現在ゼミで、社会学、主に少子化と親子関係について研究しています。また、大学外でも様々な活動をされています。
—『右京ファンクラブねっと』の「ミライインタビュー」で、たくさんのアル バイトを経験されているとの記事を拝見しました。最も印象に残っていることはありますか?
筒井:2 年ほど働いたフレンチレストランでは、初対面の方とコミュニケーションを取る力をつけました。アルバイトを始めた当初は自分から会話を作り出すことが苦手で、表へ出ずに裏方の仕事(食器洗いなど)に逃げていました。しかし、シェフに促されて自分から話しかけるようになり、いつしかコミュニケーションを取ることに楽しさを感じて、自分から主体的にコミュニケーションを取るようになりました。コミュニケーション能力に加えて、人を観察する力が同時に身につき、お客様のニーズに合わせたサービスや会話を提供することができるようになりました。
—右京区の地域で少年補導員1 をされているとお聞きしましたが、少年補導員となったきっかけは何ですか?
筒井:母が少年補導員をしていたので、誘いを受けたことで私も活動を始めました。
—少年補導員としてどんなことをされていますか?
筒井:地域の学校の学びのサポートや学校外での課外活動の支援をしておりました。現在は新型コロナウイルスの影響で活動を休止しております。
—少年補導員として活動をする際、何か気を付けていたことはありますか?
筒井:子どもたちは、大人の行動や言動をしっかりと見ているため、子どもだからといって気を抜かないことに気をつけていました。子どもに論理的に説明することも大切な一方、言葉だけでは理解できないことも多いため行動で示すことも重要です。例えば、手を洗う際は、まず私自身が手本として手を洗ってから、子どもたちにも手を洗うよう促します。また、学年によって説明の方法は異なり、低学年と高学年で接し方も変わります。子ども同士でコミュニケーションを取ってもらうため、高学年の子どもたちには、低学年の子どもたちの指導をお願いしたりもしました。責任感を与えることで彼らは「自分に任せてもらっている」ことを嬉しく感じるのか、よく動いてくれます。ただ、このような指導には一貫性を持たせる必要があります。指導内容に差異が生まれれば、子どもたちは誰を信じればいいのかわからなくなるからです。そこで大人同士でも意見を合わせることが必要であり、少年補導員である母と意見が対立した際は、徹底的に話し合い、理解し合うようにしています。
—少年補導員以外にもコミュニティ活動をされていると聞いていますが、これについてお話いただけますか?
筒井:現在は、キャリア支援団体のエンカレッジで後輩の就職活動のサポートをしています。その中で、内定のためだけの就職活動にならないように気をつけています。就職活動をする際に、彼らは「内定を取ること」を目的に置きがちです。しかし、就職は人生の通過点に過ぎません。自分自身の人生の目的をはっきりさせて、現在と未来を線で繋ぐことを意識しながら活動に取り組んでいます。
—右京区の気に入っていることや場所は何ですか?
筒井:右京区は自然と都会が混ざっていて、様々な町の顔が見られ、隠れた魅力で溢れています。その中でも、自然豊かな京北町が私のお気に入りの場所です。
—人々が興味深い、特別だと感じるような右京区の歴史的な場所、または有名な場所はどこでしょうか?
筒井:嵐山の方は右京区ですよね?渡月橋はどうでしょうか?映画の題材にもなっており、たくさんの観光客が訪れています。
—右京区において変えたいことや改善したいことはありますか?
筒井:便利な右京区ですが、小学生に対する不審者が後を絶たないことは改善したいことの一つですね。加えて、観光客の増加による交通渋滞の乱れは改善すべきです。特に、観光客も利用するバスは、地元の人たちにとっても交通手段であり、バスの遅延によって受ける影響は無視できるものではありません。通学途中にバスが遅れ、学校の授業に遅刻してしまっても、遅延扱いにはなりませんでした。このようなことを減らすために、観光客の集中を分散させ、右京区内の他地域にも観光客の流れを作ることが必要だと思います(現在は新型コロナウイルス蔓延により観光客は減少)。
—京都外国語大学、外大西高校について何か知っていることはありますか?
筒井:京都外国語大学、外大西高校との関わりは、小学生時代にさかのぼります。当時の京都外国語大学の学生が開催していた小学生対象のスポーツイベントによく参加していました。関係の構築、地域活動に積極的な印象を持ちました。外大西高校は、野球部が強く、野球部部員たちがランニングをしている姿をよく見かけていました。
—京都外国語大学、外大西高校について、何か知りたいことはありますか?
筒井:疑問に思うことは、立命館大学入学前は、右京区の地域でよく名前を耳にしていたにもかかわらず、大学に入るとあまり名前を聞かなくなったことです。京都外国語大学が地域貢献に盛んな印象を持っていたため、そのギャップに驚きました。昔からお世話になっている大学なので、多くの方に知っていただきたいです。
注1. 少年補導員:警察本部長から委嘱を受け、地域での様々な非行防止活動に従事する者。
警視庁
「少年警察ボランティア」
https://www.npa.go.jp/safetylife/syonen37/volunteer/shounen.html