[Ukyo in Action] ジャパン・キャット・ネットワーク(NPO)


取材・執筆:楳田愛依、岡島知優

スーザン・ロバーツさん(代表)

ルイス・ライムンドさん(マネージャー)

ジャパン・キャット・ネットワーク(以下、「JCN」)は、アメリカ出身のスーザン・ロバーツさんが野良猫を助ける目的で、2000年に滋賀県に共同設立したNPOです。2011年の東日本大震災の際には福島県でも救援活動をを行い、現在では東京都と京都府を拠点に、全国の猫に関する問題を解決するため、様々なプログラムに取り組んでいます。右京区の町屋を活動拠点とするJCN京都プログラムのオフィスには、ボランティアメンバーのための宿泊施設、猫のレスキューハウスもあります。今回は、設立メンバーのスーザンさんとマネージャーのルイスさんに、JCNの活動についてお話を伺いました。

—JCNの活動を始めてからどれぐらいになりますか?

スーザン:20年になります。

ルイス:2020年5月にボランティアを始めて、7月からマネージャーとして活動しています。

—JCNの毎日の活動にはどんなものがありますか?

スーザン:里親コーディネーターとして、里親希望者を面接し、猫たちの里親としてふさわしいかを判断するのが主な仕事です。また、保護猫の世話に加えて、野良猫や猫に関する質問メールにも答えています。

ルイス:ボランティアプログラムのコーディネーターとして、ボランティアスタッフの育成やスケジュール管理を担当しています。加えて、猫の健康管理やレスキューハウスの管理もしています。

—JCNでボランティアとして参加する際、知っておく、または理解しておくべきことで最も大切なことは何ですか?

スーザン&ルイス:JCNは、保護猫の世話をするボランティアメンバーの募集も行っています。仕事の内容は教えるので事前に知っておかなければいけないことは特にありません。まず大切なのは、動物を助けたいという気持ちを持っていること、その上で世話の仕方を学ぶことです。

—JCNの活動の中で最も難しかった、または大変だったことはどんなことですか?

スーザン:2011年の東日本大震災では、避難所で動物を受け入れることができないため、被災者とペットが一緒に生活をすることができない状況となりました。飼い主と引き離されたペットを引き取るのはとても悲しいことでした。他にも困難な状況に立ち会ってきました。例えば、車の中に閉じ込められた猫を助ける依頼を受け、必死の思いで警察に協力を頼んだこともありました。

—JCNの活動の中で最もやりがいを感じることはどんなことですか?

スーザン:活動のすべてにやりがいがあります。嬉しかったことの一つに、『ニュー・ホライズン』という中学生の英語の教科書に、JCNの活動がビデオで取り上げられたことがあります。これをきっかけに、野良猫への意識がさらに広まることを期待しています。

ルイス:里親となった人たちが送ってくれるメッセージや、保護猫の写真やビデオを見ると、かつての保護猫たちが可愛がられ、愛されている様子がわかり、やりがいを感じます。

—JCNの理念は何ですか?

スーザン:「ペットを助ける人を助ける」ことです。現在の、様々な地域の状況を変えるには、まず、人々の考え方や行動が変わるようにサポートを提供することが大切です。私は、猫の飼い主から毎日のように猫に関する相談を受けますが、これに一つ一つ答えることが、野良猫を助けることにつながると思うのです。

—JCNのような団体が存在する理由は何だと思いますか?また、JCNのような団体が必要でなくなるためには何ができるでしょうか?

スーザン:JCNのような動物保護団体が存在するということは、その地域に解決すべき問題があるからです。もちろん、一番の解決法は、野良猫の数を減らすことです。そのためも、人々がしっかりと、猫などの動物の世話をすることができるようになるため、その方法を伝えることが大切です。

—右京区において、また右京区に住む人々に対して、JCNはどのような役割を担っていると思いますか?

スーザン:JCNが右京区で担っている役割の一つは、野良猫の数を減らすことです。これは、避妊矯正手術を受ける猫の数を増やすことで可能になります。野良猫を見つけたら、猫を傷つけないように考えて作ったお手製のわなをしかけて捕まえ、手術を受けるために病院へ連れて行きます。そして、手術後は、元気であれば元の場所に返します。猫がこの手術を受けることは非常に大切です。なぜなら、野良猫が増えすぎると、十分な食事や水分を得ることができなくなり、特に子猫だと死んでしまうこともあるからです。これ以上かわいそうな野良猫を増やさないためには、猫に避妊矯正手術をすることが最も効果的なのです。

—将来、お二人とJCNが地域コミュニティにおいて今よりも大きな役割を担うとしたら、どのようなものだと思いますか?

スーザン:保護猫と里親の橋渡しをすることがJCNの主な役割なので、右京区の人たちと保護猫の出会いの場として、猫カフェを作りたいと思っています。もしこれが実現すれば、保護猫や野良猫に対する人々の認識が高まり、私たちの理念である「ペットを助ける人を助ける」の実現につながっていくと思います。